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盆休みもあけた月曜日の早朝、
街に向かう在来線ホームには
通学や通勤のためのお客様が
既に列を作っていた。
陸前のこの地の日差しには
まだ、夏の輝きが残っているが
ホームを吹き抜ける風は
心地よい冷たさだ。

その列車は、
先発の列車が、
車両点検の必要が発生したために
7分の遅れで到着した。

車内はほぼ満員だったが
だれも話をしない。
イヤフォンで何かを聞いていたり
スマートフォンで何かを眺めていたり
読書や仮眠のお客様が殆どだった。

車内では
車掌が、遅延のお詫びのアナウンスを
一生懸命に繰り返し告げている。
車窓の外では、
深く青々と成長した稲が
広大な田園となって
彼方まで広がっていた。

小さな山越えに差し掛かり
モーター音が轟きを増して
トンネルを数個通りすぎた。
遠くに高層の建物が見え始めて
あの田園風景とは
すっかり
様変わりしてしまった。

遅れを気にしながらも
スピードに乗せて走行していた列車は、
かなり手前から徐行運転となり、
そして、小さく車体を揺らしながら
大きな終着駅に到着した。
列車からは大勢のひと。
足早に改札口へと向かうけれど
その多くが
誰とも、ひとことも喋らずに
四方八方に散っていった。

列車が到着したホームでは、
到着を、今か今かと待ち構えていた駅員の
遅延のお詫びと乗換え案内のアナウンスが
高らかに響いていた。

街は、また
動き始める。



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by aiotsunaide | 2019-08-19 08:28 | Comments(0)

藍と共に観る路線風景


by aiotsunaide
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