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ガラス越しに見えた風景


夕べ
遅くに降り始めた雨は
今朝になっても
止まなかった。
希少な土曜日の
祝日だというのに
あいにくの雨。
11月にしては珍しい
暖かな雨だ。

結婚式に向かわれるお客様
法事に参列するかと思われるお客様
グループ旅行
出張や帰省
小さなお子さまのひとり旅
車椅子を利用されたお客様…

旅の目的はそれぞれに
無数にある。

業務中
1番線のホームの上から
3番線に入ってきた列車の中で
アテンダントから
飲み物のサービスを受ける
お客様の様子が、
窓ガラス越しに見えた。


列車の窓ガラスは、
お客様がどんな角度から
車窓の景色をご覧になっても、
まるで肉眼で見ているかのように
楽しめるような、
高い性能のもののようだ。

透明で歪みのない
窓ガラスを通して
お客様が
思い思いの景色を
楽しまれることを
心の中で
呟いていた。


降り続いていた雨が
いつの間にか小降りになって
青空も微かに見えてきた。
県境に見える連峰も現れてきた。
紅葉の葉もすっかり落ちて
次に来る白化粧を
待つばかりとなっていた。
例年なら
時雨となる時頃だが
今日は上着がいらない位
暖かい。妙だ。


待合室の中にLEDの表示板があり
列車の運行情報や観光情報
ニュースなどを提供している。
忙しなく
オレンジ色のLEDが点灯していたので
目が向いてしまった。

数週間前から
行方不明だった男性が
地元の警察署で
保護された、という
ニュースだった。
彼は、若年性の認知症で
散歩の途中で場所が解らなくなり
かつての旅の記憶から
思い付くまま列車を乗り継いで
ここまで来てしまったようだった。

その移動距離は、
営業距離数にして
約280キロ
恐らく、
80に近い駅を
列車に揺られて
ここに到着したのではないかと
想像できた。

彼が
窓ガラス越しに見たえ風景は
どんな景色だったのだろう


11月にしては
暖かな雨は、
日没前に
すっかり上がっていたが
この地域には珍しい
濃霧が
駅舎の周りに立ちこめていて
街灯も
その先にある暗闇も
何も見えなくなってしまった。

終電も終わり
消灯しようとしたとき、
待合室の掲示板には
明日の天気予報が
示されていて、
大きな
おひさまの絵文字が
光り輝いていた。

「明日は、晴れる」







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by aiotsunaide | 2019-11-26 07:19 | | Comments(0)

藍と共に観る路線風景


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