2021年 03月 01日
無人駅
かつて
この駅前の通りには
食料品店や雑貨店
衣料品を取扱う店などが立ち並び
この地域の人々が集まる街がありました。
大きな背負いかごに
旬のものを満載にした行商のおばさんが
山形県から列車に乗って運んでいて、
この小さくてほのぼのとした
わずか100mにも満たない駅前商店街に
おいしさと活気を
届けていたのです。
その頃はまだ、
貨物列車も走っていて
機関車に引かれた長い貨車の列から
カタンカタンと
心地よいリズムが
いつまでも
奏でられていました。
そのどちらの景色も
今はもう見られなくなって、
時の流れと共に
街の姿も
変わってしまいました。
ふと、ホームから天空を見上げた時
貨物列車用の標識を見つけて、
その当時の名残りから
カタンカタンという貨車の響き音や
人々が行き交う商店街のざわめきが、
峠から吹き下ろされる風の音と相まって
聞こえてくるようでした。
隣接した駐車場、
整然とした待合室、
待合室の壁には鉄道会社のキレイなカレンダー、
駅前の通りを見渡せるベンチ…。
今は無人の駅となってしまったけれど
この土地に住まう人々の暮らしに
寄り添っている駅であることに、
今も昔も
変わりはありませんでした。
そしてこれからも
同じようにあり続ける
駅でありますようにと
そっと思いを寄せたくなる
そんな駅でもありました。

*陸前白沢駅にて
by aiotsunaide
| 2021-03-01 09:06
| 隧道(トンネル)
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