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湯けむり号

深呼吸をして
みちのくの朝の空気を吸い込むと、
草の甘い香りが
すうっと鼻の奥深いところに
広がっていくのを感じた。
どこか懐かしい。
列車が到着するのを待つ間に、
せわしなく過ぎる毎日の
張り詰める緊張感が
ゆっくりと解けていくようだ。
駅員さんのアナウンスと共に
近づいてくる
可愛らしい小さな列車に、
子供のようにワクワクする。

気動車の心地よい揺れに
身を任せて、
都会的な風景から
苗色に染まった森を通り過ぎて
トンネルを抜けると、
そこからは
東北の素顔に出会う旅が始まる。


湯けむり号_e0416525_23251531.jpg

松島では古の歴史に触れ、
小牛田では田園の広大さに
心が伸びやかになる。
湯けむり号_e0416525_23280785.jpg




鳴子に着くと伝統工芸の温かさに感動しつつ、
列車は
奥の細道湯けむりラインを前に進んで
山形県へと県境を越える。
1000年の時を超えて
今も尚、滔々と湧き続ける赤倉温泉。
雪深く厳しい気候が生み出す
自然の神秘さは一期一会で、
またあの景色に出会いたくなって
次の訪問を思い浮かべる。

湯けむり号_e0416525_23265381.jpg


花・自然・絶景・歴史・文化・酒・食・温泉・復興。
それらの想いとおもてなしを全身に纏った列車は、
乗り換え点を越えて
向こう側へと駆けてゆく。
まるで
みちのくの魅力と共に
東北の新たな目的地へと
向かっているかのような
走りに思えた。


湯けむり号_e0416525_23271596.jpg

撮影:2021年6月13日 JR松島駅付近




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by aiotsunaide | 2021-06-15 09:34 | | Comments(0)

藍と共に観る路線風景


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