2021年 06月 15日
湯けむり号
深呼吸をして
みちのくの朝の空気を吸い込むと、
草の甘い香りが
すうっと鼻の奥深いところに
広がっていくのを感じた。
どこか懐かしい。
列車が到着するのを待つ間に、
せわしなく過ぎる毎日の
張り詰める緊張感が
ゆっくりと解けていくようだ。
駅員さんのアナウンスと共に
近づいてくる
可愛らしい小さな列車に、
子供のようにワクワクする。
気動車の心地よい揺れに
身を任せて、
都会的な風景から
苗色に染まった森を通り過ぎて
トンネルを抜けると、
そこからは
東北の素顔に出会う旅が始まる。

松島では古の歴史に触れ、
小牛田では田園の広大さに
心が伸びやかになる。

鳴子に着くと伝統工芸の温かさに感動しつつ、
列車は
奥の細道湯けむりラインを前に進んで
山形県へと県境を越える。
1000年の時を超えて
今も尚、滔々と湧き続ける赤倉温泉。
雪深く厳しい気候が生み出す
自然の神秘さは一期一会で、
またあの景色に出会いたくなって
次の訪問を思い浮かべる。

花・自然・絶景・歴史・文化・酒・食・温泉・復興。
それらの想いとおもてなしを全身に纏った列車は、
乗り換え点を越えて
向こう側へと駆けてゆく。
まるで
みちのくの魅力と共に
東北の新たな目的地へと
向かっているかのような
走りに思えた。

撮影:2021年6月13日 JR松島駅付近
by aiotsunaide
| 2021-06-15 09:34
| 橋
|
Comments(0)

