2021年 09月 28日
時流
オノヨーコさんのアートが期間限定で展示されてるという話を聞いて

会場に出かけてみることになった。
小牛田駅から石巻線に乗って
終点の女川駅まで、74分の列車旅だ。
川面を走っているかのような錯覚を感じる
旧北上川の鉄橋を通り、
小山を直線に貫いたトンネルを抜ける。
トンネルにはいつも
その先に何かがあるように思えて、
出口の先の丸い光を追ってしまう。
トンネルを抜けるとすぐに終着となり、
震災後に建て直された新しいこの駅は、
明るく柔らかなイメージの駅舎に生まれ変わった。
以前の駅舎は、
戦後の近代建築の流れを受けた
モダンな駅舎だったと聞いている。
海と陸を繋ぎ、
生活の中に自然に溶け込む存在だったのだろうと
想像してしまう。
オノヨーコさんの作品は
たくさんの願い事を書いた短冊で飾られた
凛とそびえる1本の樹木。
初秋の澄んだ青空に映えて
時折海の方から吹いてくる風に
優しく揺れている。
その後ろには
大津波で土台ごとなぎ倒された
コンクリート製の派出所の遺構があり、
作品の枝の間から
静ずかに時の流れを
訴えかけているようにも見えた。
この空間のどこかに
かつての駅舎があって
賑わいがあった港町。
1本の樹木を介して
その向こう側に見える
新しい駅舎。
時は容赦なく
規則的に流れて、
かつてそこにあったものも
これから訪れようとしているものも
全てを受け入れていこうとする。
この港町には、
そんな風が吹いていた。

*地元の珈琲店のワンドリップコーヒーラベルに伺える旧女川駅舎
*オノヨーコの作品について:Reborn-Art Festival 2021-22 (reborn-art-fes.jp)
by aiotsunaide
| 2021-09-28 23:57
| 駅
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