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止まったままの時間

「SL銀河」を求めて

釜石線沿線を歩いていると

線路と車道(歩道)が

非常に接近している場所が多いことに気づく。



踏切もない、

線路の向こう側の

小高くなったとある場所に

一軒の古い家を見つけた。




壁のモルタルは古く、

窓のデザインは西洋風でモダンであったが、

あちらこちらが壊れかかり、

木の窓枠が朽ちているところもあった。

家の周りに生えている立木は生い茂り、

屋根を覆いつくさんばかりだった。

いつ頃の建物なのだろう。

更によく見ていくと

旧字体で「醫院(医院)」と書かれてある。

そうか、ここは病院だったらしい。




列車(SL銀河)が来るにはまだ間があったので

しばらくその建物を眺めていた。



熱が出たこども、おなかが痛くて困ったひと、

作業中に大けがをしてしまったひと、

夜中に喘息の発作が出てしまい苦しさを訴えるひと・・・




当時は、あらゆる症状の患者さんが昼夜を問わず、

この医院を訪れていたのではないだろうか。

ここから大きな病院へ行くとすれば、

花巻か遠野方面へ行かなくてはならず、

列車で小一時間ほど移動しなければならない。

当時のダイヤであれば

一体どのくらいかかってしまったことか。




「醫院」と書かれたその横に

木製の看板に白色のペンキで「HOSPITAL」書かれた文字を見つけたとき、

これらの表記の不釣合さから

この医院にはあらゆる困りごとを一手に引き受けてくれるような医師がいて、

看護師が優しく声をかけながら

患者に寄り添うように治療をする風景が浮かんで見えた。




この空間だけが、

まるで時が止まったままここに在るようで、

「SL銀河」という列車がもたらすシーンでは

懐古的なイマジネーションまでをも引き起こす。



※2021/11/28 JR釜石線探訪より


Commented by algosj at 2021-12-28 16:46
良質の映画の一場面
そんな風な「醫院」、
そのシーンを写真で
見たいと思いました。

が然し、各自の胸に
映る映像の方がより
よく持続するのかも…

映像を揚げない事で
映像を伝えるお手並
拝見致しました。
Commented by aiotsunaide at 2021-12-29 00:00
> algosjさん
コメントを頂きまして
ありがとうございます。

この「醫院」の写真は
実は、私のカメラの中に
納まっています。
この写真を掲載するかどうか
最後の最後まで迷いました。

記事を書きながら、
この建物のどこかに
息吹のようなものが感じられて、
廃墟と呼ぶには
違和感があったことを
思い出していました。
また、時を経た建物が
そのまま在り続けていることに、
何か意味があり
理由があるようにも
思えてきました。

それで、
私がイメージしたシーンを
「時空を超えて…」という
SL銀河のコンセプトに重ね合わせて、
写真は掲載せずに
拙い文章でありますが
綴ってみようと思いました。
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by aiotsunaide | 2021-12-13 23:57 | | Comments(2)

藍と共に観る路線風景


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