2022年 10月 21日
なびき
とあるローカル線での
出来事を思い出していた。
夕暮れ時に
慌てて列車に乗り込んだ。
端っこの車両の出入り口近くに
そのまま立って、
線路が遠ざかってゆく風景を
眺めていた。
走り去る列車の風になびいて
ススキの穂がわさわさと揺れていた。
ある穂先がほわほわと
風で雪崩れて線路にかかり、
それが
キツネの大きな尻尾のように見えた。
それに続いて
幾らか小さめの穂が
追いかけるようにして、揺れる。
まるで、キツネの親子が
線路を渡っているようだ。
もしかしたら
本物の
尻尾ではなかったろうか。
吹く風も肌を切るようになって
そろそろ秋も終わりを迎える。
冬を前に
今頃はどうしているのかと
心を寄せてみたくなる。
襟を立てたくなるような
秋風がヒューと吹く。
カーディガンの前立てを
慌てて首元までだぐり寄せながら
今となっては確かめようもない
キツネの親子の姿を
柔らかになびく
ススキの穂の群れに重ねながら
いつまでも眺めていた。

撮影:2022/10/18
JR仙山線 愛子-陸前白沢間
by aiotsunaide
| 2022-10-21 23:57
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